Team WRTのBMW M4 LMGT3の32号車が、2026年FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦富士6時間レースでLMGT3クラスを制した。ダレン・レオン/ショーン・ゲラエル/アウグスト・ファルファス組が、セーフティカーフルコースイエローが相次ぐ波乱の展開のなか、終盤に投入した新品タイヤを生かして首位まで浮上しリードを守り切った。
LMGT3クラスではレース序盤から混戦となり、1コーナーでは複数のマシンが絡むアクシデントが発生。レオンは「非常に慌ただしいスタートだった」と振り返った。
WRTにとっては、ここまで厳しいシーズンを過ごしてきた中での大きな転機となった。レオンは「結果以上に、もっとできることがあった」とこれまでの戦いを振り返り、今回ようやく結果につながったことへの安堵を示した。
ゲラエルのスティントでは大きな動きこそなかったものの、レオンがトップ5、さらにトップ4へとポジションを押し上げ、チームは優勝争いに加わった。その後、セーフティカーとVSCによって順位が変動する中でも、徐々に上位へ進出。ゲラエルは「何度も上下があったが、そのたびに順位を取り戻していった」とレースを振り返った。
最終スティントを担当したファルファスは、レース前半の展開を見守りながら出番を待った。レース中にはセーフティカーなどの介入がチームにとって思うようなタイミングにならない場面もあった一方、終盤には新品タイヤを投入。ほかの一部のマシンがハーフセットのタイヤを使用していたのに対し、WRTはフルセットの新品タイヤを持っていたことが最後の戦いで優位に働いた。
ファルファスは「最初の4時間は見ている時間が長かった」と振り返り、終盤のピットストップについても混乱した状況だったと説明した。SCが予想以上に長く続いたことでタイミングを待つ時間が生まれ、ようやくグリーンフラッグが提示された段階で新品タイヤを投入した。
新品タイヤを得たファルファスは、ストレートではライバルに対して大きなアドバンテージがなかったことから、コーナーの多い区間で最大限のパフォーマンスを引き出した。「ストレートでは最も速いクルマではなかったので、インフィールドで最大限を引き出す必要があった」
路面は完全には乾き切っておらず、滑りやすい難しいコンディションだった。それでもファルファスは積極的にポジション争いを仕掛けた。「少しスパイシーな動きもあった。ギャップがあれば行かなければならなかった。路面は滑りやすく、完全に乾いていたわけではなかったが、こういうコンディションは好きだ。今日はその日だった」
ファルファスは終盤のバトルについても、相手のペースを把握したうえでブレーキングポイントを意識して守ったと説明。特に1コーナーから10コーナーにかけては自信を持って防御し、相手がセクター3で速いことを認識しながらミラーを確認していたという。
富士での勝利は、WRTの32号車にとって今季の戦いを象徴する一戦となった。荒れた展開の中で順位を落とす場面もありながら、終盤のタイヤ戦略とファルファスの走りによって優勝を引き寄せた。
さらにレオンにとって今回は特別な週末でもあった。金曜日が自身の誕生日、決勝当日が娘の誕生日で、2人の誕生日が2日違いとなる週末だったという。レオンは、世界選手権のレースをこのタイミングで勝利できたことについて、特別な週末になったと語った。
TEXT=Takumi YANO
FIA F3
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