フォーミュラEは21日、企業の社会的・環境的責任を評価する国際認証「B Corp(Bコープ)」の認証を取得したと発表した。スポーツ団体としては世界初で、持続可能性と競技性の両立を掲げる同シリーズの取り組みが、国際的な基準によって正式に評価された。

B Corp認証は、環境配慮、社会貢献、ガバナンス、従業員への配慮、透明性と説明責任など、厳格な基準を満たした企業や組織に与えられる。フォーミュラEは、創設から約10年にわたり「スポーツを通じた前向きな社会変革」を掲げてきた実績が評価された。今回の認証取得を通じ、「Make Progress Thrilling(スリリングな進歩を)」という使命を明文化。興行性を最優先してきた従来のスポーツ産業の在り方に一石を投じ、競技の迫力と社会的インパクトの両立を新たな標準として打ち出す。
認証取得の決め手となったのは、レースイベントにおける高い社会・環境基準の運用、開催地ごとの地域社会への貢献プログラム、従業員のWell-Being(心身ともに健康な状態)に配慮した労働環境、そして企業活動における透明性と説明責任への継続的な取り組みだという。
B Corpには、パタゴニアやベン&ジェリーズ、オールバーズといったグローバルブランドが名を連ねており、フォーミュラEもこれらの目的志向型企業と共に、持続可能なビジネスモデルの普及と社会的インパクトの拡大を目指す。
発表はスイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会に合わせて行われた。フォーミュラEはシーズン13から導入の次世代マシン「Gen4」を発表したばかり。100%リサイクル可能な構造と、20%の再生素材を採用し、最高時速320km/hでの走行を想定している。
ジェフ・ドッズCEOは、「我々はクラブに入るためではなく、スポーツが許されてきた枠組みそのものを壊すためにここにいます。B Corp認証は、競技力と社会的目的が同時に成立し得ることを示す証明です。」「多くの人は持続可能性を、セミナーや会議室で形だけ確認するものと捉えがちですが、私たちはそれが市街地を時速320km/hで駆け抜ける現場で体現されるものだと考えています。持続可能な航空燃料の先駆的な導入から、100%リサイクル可能なレーシングカーの開発まで、フォーミュラEが示したいのは、進歩は必要なだけでなく、直感的に感じられるものだということで、これは立ち止まって祝うための到達点ではありません。さらに進歩するためのライセンスとなります。」
また、サステナビリティ担当のジュリア・パレ副社長は、「フォーミュラEは単なる約束やカーボンオフセットにとどまらず、再生可能エネルギーへの投資や、開催都市ごとの地域社会との直接的な協働を重視してきました。B Corpコミュニティへの参加を通じ、スポーツと産業の双方で影響力をさらに深めていきます。」と述べた。
B Corp認証を審査・運営する英国の会社であるB Lab UKのクリス・ターナーCEOも、「フォーミュラEの参画は、スポーツ業界全体にとって重要な節目となります。成功と社会的意義は両立しないという固定観念を覆す好例となるでしょう。」と評価した。
現在12シーズン目を迎えるフォーミュラEは、今季17戦・11都市で開催。大陸ごとにレースをまとめる日程設計により、輸送距離を削減しCO₂排出の抑制を図るなど、競技運営そのものに持続可能性を組み込んでいる。
フォーミュラEは、気候変動対策と電動モビリティの普及加速を目的に設立された。電気自動車技術の実証の場として、得られた知見を量産車開発へと還元する役割も担う。これまでに、スポーツ界で初めてBSI(英国規格協会)の「ネットゼロ・パスウェイ認証」を取得し、科学的根拠に基づく削減目標(SBT)を設定。2019年比でスコープ1・2排出量を55%削減している。



コメント