タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラE チームは、4月13日に行われたミサノePrixにてアントニオ・フィリックス・ダ・コスタの失格に対する控訴に失敗した。6月26日にFIAは国際控訴裁判所による判決を発表し、日産のオリバー・ローランドの勝利は保持される事となった。
ローラン・アンセルミ議長率いるFIA国際控訴裁判所は、6月7日の審理の後、6月25日の夜に判決を発表した。ミサノePrixレース1のリザルトからダ・コスタを除外するというスチュワードのアヒム・ロート、フランチェスコ・マフェッツォーニ、ミハエル・シュヴェーゲルの決定は、そのまま有効となった。
全17ページにおける控訴院からの原文はここからダウンロードできる。(https://www.fia.com/news/20232024-abb-fia-formula-e-world-championship-ica-decision-hearing-07-06-24-tag-heuer-porsche)
何故ポルシェは失格になったのか
2024年4月13日に開催されたミサノePrixにおいて、ポルシェはスロットルペダルに”無許可の部品”、スロットルダンパースプリングを使用したとされている。これはスロットルを元の位置に戻す役割をするパーツである。
ダコスタが当時使用していたスプリングは、Gen3のシャシーを製造しているSpark Racing Technologyの部品カタログに掲載されている3部品と一致しなかった。これは競技規則第27.10条と技術規則第3.3条に対する違反であった。
競技規則第27.10条では、チームはFIA公式サプライヤーからの取扱説明書に常に従わなければならないと記載されている。技術規則第3.3条には、使用される全ての部品はメーカーの部品カタログに記載されている必要があると記載されている。
ポルシェのアクション
失格の裁定が下ってから即座に、ポルシェは控訴の意向を発表。4月17日に控訴は受理され、5月17日にポルシェは控訴理由を提出した。5月29日にはポルシェが更なる書類と証拠の提出を申請し、これが受理されていた。
6月4日にFIAは追加文書に関する書面による意見書を提出し、6月7日パリにてFIAとポルシェ両当事者の審理が行われた。
ポルシェ側の主張
問題となったスプリングは、シャシーメーカーのスパークによるGen3公式カタログに当初掲載されており、ポルシェが2022年11月に車両のホモロゲーションを取得した時から装着されていた。
ただこのスプリングはGen2用の古いスペックであり、スペアパーツが間に合っていなかった事から当初掲載されていた。その為、スペアパーツが揃ったシーズン10開始前に、該当パーツはカタログから削除された。ただシーズン10最初の5レースで、一度もこのスプリングが異議を唱えられた事はなかった。
ポルシェの主張としては、スパークの部品カタログはホモロゲーションの期間拘束力を持つものであり、ホモロゲーション期間中は車両が合法であるというものだ。また故意でも過失でも無い事から、違反であっても失格にはならないと主張した。
またスパークはカタログからの削除をチームに通達しておらず、該当パーツを使用した事によるパフォーマンス上のメリットも無かった。また部品カタログは140ページ弱に及ぶため、レース直前にこれを実車と比較するのは到底無理な話であった。
FIAの主張
問題のスプリングはポルシェではなく、サプライヤーの部品である事からホモロゲーションに変更される可能性があるというのがFIAの見解である。またポルシェが証拠として使用した部品カタログの該当バージョンは、”メーカー”としてのポルシェにのみ公開されているもので”チーム”には公開されていないものであった。
メーカーはスペアパーツが揃うまで、暫定的にGen2用のスプリングを使用する許可をスパークから得ていた。ただシーズン10開始前に受け取った部品カタログ改訂版からは、そのスプリングが削除されていた。



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