今週末いよいよ、2024年のスパ24時間レースが行われる。GT3による耐久レースの最高峰にしてGTワールドチャレンジヨーロッパ、インターコンチネンタルGTチャレンジ最大のイベントであるスパ24時間。ここではそんなスパ24時間が楽しくなる様々な知識を紹介する。
スパ24時間レース 基本情報
サーキット:スパ・フランコルシャン(ベルギー)
初開催:1924年
開催回数:76回(今回で77回目)
スパ24時間の歴史
スパ24時間レースが初めて開催されたのは1924年。ルマン24時間レース初開催の翌年のことであった。当時のスパ・フランコルシャン・サーキットはまだ公道コースであったため、1979年のレイアウト変更まではルマンのように公道での24時間レースであった。初回のレースではフランスの自動車メーカー、ビグナンのフランス人コンビが優勝。現在も存続しているブランドとしては1926年のプジョーが最古となっている。アルファロメオは戦前のスパ24時間13回で7勝をマーク。戦前のスパにおいて最も成功したメーカーとなった。しかし戦争の影響で1939年をもってスパ24時間レースは一旦終了した。
1948年、戦争で中止となっていたスパ24時間レースが遂に復活。この第14回大会ではアストンマーティンがイギリス車、イギリス人ドライバーのコンビで初優勝を達成した。戦前はフランス、イタリアのメーカーやドライバーの活躍がほとんどであったが、このアストンマーティンの優勝を機にスパ24時間は国際色を強めていく。1953年はジュゼッペ・ファリーナ/マイク・ホーソーン組のフェラーリというF1ドライバー、チームのコンビが制覇するなどレースのレベルも年々高まっていった。
1965年、パスカル・イクス/ジェラード・ラングロス・ファン・オフェン組のBMW 1800Ti/SAが優勝。BMWが初勝利を達成する。さらに1967年、ジャン・ピエール・ガベン/ノエル・ファン・アッシェ組のポルシェ911が優勝、ポルシェ初優勝を達成。今やスパ24時間で最強といっていいドイツメーカーだが、メルセデス以外の勢力は1960年代半ばまで勝利が無かったというのは意外である。その後の1970年代はまさにBMW最強時代。1970,1973,1974,1975,1976,1977年のスパを制し圧倒的な地位を築いた。
1981年の優勝はピエール・デュダン/トム・ウォーキンショー組のマツダRX-7。日本車初優勝を飾った。1970年のスパでファミリアロータリークーペが惜しくも敗れた歴史があったもの、日本車初優勝の座は無事マツダのものとなった。
1991年にはA.オロフソン/D.ブラバム/服部尚貴組のR32 GT-Rが優勝。当時国内やオーストラリアなどで猛烈に活躍していたグループAのR32の強さをヨーロッパでも見せつけることとなった。またオロフソン、ブラバム、服部という当時の日本で活躍していたドライバートリオに懐かしさを覚える人も少なくないだろう。
2001年にスパ24時間は大きな変革を迎える。前年まではツーリングカーで開催していたレースをGTカーでのレースに変更したのだ。またそれと同時にFIA GT選手権に組み込まれた。記念すべきGT化1回目を制したのはクライスラー・バイパーGTS-R。8.0L V10のアメリカンなGTカーで優勝、表彰台独占を飾った。(ちなみにこのレースの総合2位に入った僚友のバイパーはセバスチャン・ブルデーがドライブしていた)
2011年から現在まではGT3規定でレースが行われている。GT3規定化後はアウディ4勝、BMW4勝、ポルシェ2勝、メルセデス2勝とドイツ車が圧倒的な強さを誇っている。ドイツ車以外の優勝は2021年のアイアン・リンクスのフェラーリ488のみ。今回のレースでもドイツ車が強さを見せるのか、フェラーリが3年ぶりの優勝を掴むのか、はたまたGT3初優勝のメーカーが現れるのか、注目したいところだ。
GT3規定での歴代ウィナー
| 2011 | アウディ R8 LMS | アウディ・スポーツ・チームWRT | T.シャイダー G.フランキ M.エクストローム |
| 2012 | アウディ R8 LMS ultra | アウディ・スポーツ・パフォーマンス・チーム | A.ピッチーニ R.ラスト F.スティップラー |
| 2013 | メルセデスベンツ SLS AMG GT3 | HTPモータースポーツ | B.シュナイダー M.ゲーツ M.ブーク |
| 2014 | アウディ R8 LMS ultra | ベルジャン・アウディ・クラブ・チームWRT | R.ラスト M.ヴィンケルホック L.ファントール |
| 2015 | BMW Z4 GT3 | BMWスポーツ・トロフィー・チーム・マークVDS | N.キャッツバーグ L.ルアー M.パルタラ |
| 2016 | BMW M6 GT3 | ローヴェ・レーシング | P.エング M.マルタン A.シムス |
| 2017 | アウディ R8 LMS | アウディ・スポーツ・チーム・サンテロック | J.グーノン C.ハーゼ M.ヴィンケルホック |
| 2018 | BMW M6 GT3 | ワーケンホルスト・モータースポーツ | T.ブロンクヴィスト P.エング C.クロンス |
| 2019 | ポルシェ911 GT3 R (991.2) | GPXレーシング | K.エストレ R.リーツ M.クリステンセン |
| 2020 | ポルシェ911 GT3 R (991.2) | ローヴェ・レーシング | E.バンバー N.タンディ L.ファントール |
| 2021 | フェラーリ488 GT3 Evo 2020 | アイアン・リンクス | C.レドガー N.ニールセン A.ピエール グイディ |
| 2022 | メルセデスAMG GT3 Evo | AMGチーム ・アコーディスASP | J.グーノン D.ジュンカデラ R.マルチェッロ |
| 2023 | BMW M4 GT3 | ローヴェ・レーシング | P.エング M.ウィットマン N.イェロリー |
現役ドライバーではエングが3勝、ラスト、ローレンス・ファントール、グーノンが2勝をあげている。今年エングが優勝した場合、4勝目となり歴代同率2位となる。ちなみに1位は通算5勝を挙げたベルギー人ドライバーのエリック・ヴァン・デ・ポール。
WRT、ローヴェが3勝をあげる一方、他カテゴリーで活躍してきたAFコルセ、ゲットスピード、プロトンなどのチームは未勝利。スパ24時間初制覇への期待が高まる。
参戦メーカーの記録
| メーカー | 最後の勝利 | 通算勝利数 |
| BMW | 2023年 | 25勝 |
| ポルシェ | 2020年 | 8勝 |
| フォード | 1989年 | 6勝 |
| アウディ | 2017年 | 4勝 |
| フェラーリ | 2021年 | 4勝 |
| メルセデス | 2022年 | 4勝 |
| アストンマーティン | 1948年 | 1勝 |
| ランボルギーニ | 0勝 | |
| マクラーレン | 0勝 |
BMWが文字通り桁違いの勝利数を誇る。面白い記録が出る可能性があるのはフォードとアストンマーティン。優勝した場合フォードなら35年ぶり、アストンマーティンならなんと76年ぶりの優勝となるのだ。2013年にメルセデスが49年ぶりの優勝を果たしているため、アストンマーティンは大記録を更新できる可能性がある。ランボルギーニ、マクラーレンは優勝すれば初優勝、20メーカー目となる。
今回出場するアジア・オセアニア系チーム
| 16 | プロアマ | ウノ・レーシング・チーム ・ウィズ・ランドグラフ | 中国 | メルセデス | I.ドンジェ D.プン リオ K.テセ |
| 23 | プロ | ファントム・グローバル ・レーシング | 中国 | ポルシェ | J.エリクソン J.エヴァンス T.プライニング |
| 61 | プロアマ | アール・バンバー ・モータースポーツ | オーストラリア | ポルシェ | E.バンバー A.ダ シルバ B.ライッチ K.リー |
| 130 | プロ | メルセデスAMG・チーム・ グループM・レーシング | 中国 | メルセデス | R.アーロン D.ジュンカデラ F.ヴェスティ |
| 888 | プロアマ | トリプルエイトJMR | オーストラリア | メルセデス | J.イブラヒム M.コンラッド J.ラブ A.シムス |
| 992 | プロ | ハブオート・レーシング | 台湾 | ポルシェ | K.エストレ P.ピレ L.ファントール |
今回のスパ24時間には日本人、日本チーム、日本車の参戦は無い。一方、GTWCアジアなどでお馴染みのアジア系、オセアニア系チームは数多く参戦している。ファントム・グローバル、グループM、ハブオートの3チームは総合優勝を争う可能性もかなりあるため目が離せない。注目チームの特集記事も公開中なので是非ご覧あれ。
スパ24時間レースは今日22時45分にスーパーポール、明日6月29日土曜日23時30分に決勝レーススタート予定。



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