注目のF3ドライバーを紹介する【F3ドライバー紹介】シリーズ。第1回は今季のF3チャンピオン候補でウィリアムズF1の育成ドライバー、ルーク・ブラウニングを紹介する。
基本情報
ルーク・ブラウニング
2002年1月31日生まれ 22歳
イギリス出身 イギリス国籍
ウィリアムズF1チーム 育成ドライバー
ウィリアムズカラーのマシンで今季のF3を走るブラウニング。昨年からF3に参戦しており今季で2年目。最終戦モンツァのみを残した現時点でトップまで6点差の3位となっており、今シーズンのドライバーチャンピオンの可能性も残している、今季F3最注目のドライバーのひとりだ。
まずは彼のここまでの半生を参戦してきたレースを通して振り返っていく。
四輪デビュー
2016年、14歳にしてジュニアサルーンカー選手権から四輪デビュー。これはシトロエンの古いハッチバックで行われるツーリングカーレースだ。年明けの2017年1月、本人曰く「遊び半分で」リチャードソン・レーシングのシミュレーター大会に参加。ここで才能を見出されシュミレーターテスト、実車でのテストに参加。2017年のジネッタジュニア選手権にリチャードソン・レーシングから参戦することとなった。ジネッタジュニアはジネッタG40という小型スポーツカーによるレース。2018年も継続参戦し年間3位に。一般的にはF1を目指すドライバーはF4などのフォーミュラカーで四輪デビューすることが多いがブラウニングはツーリングカー、スポーツカーレースからキャリアをスタートした。
F4時代
2019年、17歳でイギリスF4にデビュー。ジネッタジュニアに参戦した際と同じリチャードソン・レーシングから参戦した。初参戦となったこのシーズンは6位で終えた。(ちなみにこのシーズンのチャンピオンはゼイン・マローニ。)
2020年はフォーテックに移籍しイギリスF4に継続参戦。資金調達などで苦戦していたがコロナ禍でシーズン開幕が遅れたことにも助けられ何とかフォーテックのシートを獲得することが出来た。このシーズンは開幕から表彰台を連発し第3戦オウルトンパークでは初のスイープ(3レース全て制し完全制覇)を達成。ザック・オサリバンとの激しいタイトル争いを展開した。最終戦は雨で赤旗も出る大混乱のレースとなりオサリバンと僅か4点差で逆転チャンピオンを獲得。(ちなみにこの年の3位は昨年DステーションからWECに参戦したキャスパー・スティーブンソン)イギリスF4では初めて、カーリン(現ロダン)モータースポーツ以外のチームによるタイトル獲得となった。
2021年にもF4に参戦。イギリスF4は卒業しADAC F4(ドイツ)に参戦した。参戦チームは現在イタリアF4などで活躍するUSレーシング。同じく現在F3で活躍するティム・トラムニッツ、ユーロ・フォーミュラ・オープン、ELMSなどで活躍するヴラディスラウ・ロムコとともに参戦した。VARから参戦しチャンピオンを獲得したオリバー・ベアマンには及ばなかったもののシーズン3位を獲得。ヨーロッパ全体にその実力を見せつけることとなった。
GB3昇格
2022年、20歳でイギリスに戻りGB3(旧 イギリスF3)に参戦。ADAC F4をメインとしていた2021年に1ラウンドのみスポット参戦し、2022年はフル参戦となった。チームはF2にも参戦する強豪、ハイテックGPに移籍。開幕2連勝でシーズンをスタートさせその後はコンスタントに表彰台を獲得。無事チャンピオンとなった。
F3デビューとウィリアムズアカデミー入り
GB3チャンピオンとなったブラウニングはオフシーズンの間ハイテックからフォーミュラ・リージョナル・ミドルイースト(FRMEC)に参戦。しかし初のリージョナル車両、そしてクウェートという舞台では活躍できず、8ptのみの獲得に終わった。
2023年、メインシーズンで21歳にして遂にFIA F3選手権にデビュー。18歳前後でデビューするドライバーの多いF3では比較的遅めのデビューとなった。
そして4月27日、ウィリアムズアカデミー入りが発表される。2023年は既にザック・オサリバン、フランコ・コラピント、オリバー・グレイの3人がウィリアムズ育成としてF3を戦っており、ウィリアムズカラーのF3マシンはブラウニングで4台目となった。
F3デビュー、ウィリアムズ育成入りとF1に向けて準備が整っていっていたブラウニングだが肝心の成績は不振気味に。ウィリアムズカラーとなって2戦目となるスペインで初の表彰台を獲得したもののその後7レース連続でノーポイント。スペインでの表彰台までコンスタントに入賞していたことでシーズン15位となったが、後半戦はかなり苦労することとなった。
2023年マカオGP、2024シーズン
F3ルーキーシーズンを表彰台1回の未勝利で終えたブラウニングはメインシーズンと同じくハイテックからマカオF3ワールドカップに参戦。F4時代を含めても初のマカオでのレースとなった。
ここでブラウニングは覚醒。プラクティスをプレマのガブリエレ・ミニに続く2位で終えると予選ではそのミニを上回りポールポジションを獲得。多くのファンや関係者を驚かせた。スターティンググリッドを決める予選レースではミニに代わって2番手まで上がってきたアレックス・ダンに2秒差をつけ優勝。メインレースは4度リスタートが行われるマカオらしい荒れた展開となったがポールポジションから1位を守り抜き優勝。予選から全セッションでトップとなり2023年のマカオを完全制覇した。F3マシンによる最後のマカオウィナーとなった。
ブラウニング自身も”One of the biggest achievements of my career”(私のキャリアで最大の結果のひとつ)とインタビューに答えるなど、このマカオでの優勝はブラウニングにとってかなり大きなものであった模様。それは2024年シーズンの活躍にも現れているように思える。開幕戦バーレーンのフィーチャーレースでFIA F3選手権初優勝を達成。その後は2023年のように不振に陥ることなくコンスタントに入賞した。中盤戦オーストリアのフィーチャーレースでは自身F3では初のポールトゥウィンを達成。ドライバーランキング上位を保ち最終戦に臨む。
これまでの主な成績
| シーズン | シリーズ | チーム | ランキング | 勝利数 | 表彰台 |
| 2016 | ジュニアサルーンカー | メイド・モータースポーツ | 9位 | 1/18 | 3/18 |
| 2017 | ジネッタジュニア | リチャードソン・レーシング | 11位 | 0/26 | 0/26 |
| 2018 | ジネッタジュニア | リチャードソン・レーシング | 3位 | 8/26 | 18/26 |
| 2019 | イギリスF4 | リチャードソン・レーシング | 6位 | 2/30 | 9/30 |
| 2020 | イギリスF4 | フォーテック・モータースポーツ | 1位 | 7/26 | 16/26 |
| 2021 | ADAC F4 | USレーシング | 3位 | 2/18 | 8/18 |
| 2022 | GB3 | ハイテックGP | 1位 | 5/24 | 13/24 |
| 2023 | FIA F3 | ハイテック・パルスエイト | 15位 | 0/18 | 1/18 |
| マカオGP | ハイテック・パルスエイト | 1位 | |||
| 2024 | FIA F3 | ハイテック・パルスエイト | 2/16 | 3/16 |
ここからは半生の振り返りで書ききれなかったトピックをいくつか紹介する
尊敬するドライバー
ブラウニングの尊敬するドライバーは「特になし」。多くのドライバーから少しずつ学ぶようにしているという。例えばフェルスタッペンの場合は攻撃的なドライビング、ハミルトンの場合は長期間トップに立ち続けるメンタリティを学んだとのこと。また、ジネッタジュニア時代のインタビューではジム・クラークが自分の手本だと語っている。
eスポーツ
ブラウニングはeスポーツで腕を磨いてきたドライバーの1人。シュミレーター大会で才能を見出されたことをきっかけにジネッタジュニアに参戦した以外にも、イギリスF4時代にはフォードのeスポーツプロジェクト「フォードジラ」に参加。このプロジェクトでプロのeスポーツドライバーとしてレース資金の確保も行っていた。また、iRacingでフェルスタッペンやグロージャンと同じレースに出場するなどしていた。フェルスタッペンは前述した通りブラウニングの尊敬するドライバーの1人であり、これらeスポーツでの対戦のブラウニングへの影響は計り知れない。
フレッドおじさん
カートなどのレースに参戦する際、父親が仕事で来ることが出来ない時に必ず来ていたのがブラウニングの隣の家のおじさん。ブラウニング本人は「おじいちゃん」「フレッドおじさん」と呼んでおり、ほぼ家族の一員であると語っている。フレッドおじさんからの影響は大きく、主に精神面に関してかなりアドバイスをもらっていたようだ。また、ブラウニング曰くフレッドおじさんは「最大のファン」とのこと。現在は引っ越してしまい隣の家では無いようだが、現在も関係は続いているようだ。
今シーズン残すは最終戦モンツァのみとなったFIA F3選手権。果たしてイギリスF4時代のような大逆転チャンピオンはあるのか。ルーク・ブラウニングから目が離せない。



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