ノーマン・ナトーが日産へ復帰!ローランドも継続へ。日産、シーズン11のラインナップを発表。【フォーミュラE】

Formula E

日産は9月11日、シーズン11のドライバーラインナップを正式発表。アンドレッティで1シーズンを過ごしたノーマン・ナトーが1年ぶりにチームへ復帰。複数年契約のオリバー・ローランドは予定通り継続となった。ナトーは2シーズン限りで日産チームを離脱となった、サッシャ・フェネストラズの後任となる。

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このドライバー変更は、サッシャ・フェネストラズをシーズン11においても起用するか否か、日産内部になる長い議論の後決定が下された。

日産は当初、サッシャ・フェネストラズを残留させる方向で動いていた事が知られている。またノーマン・ナトーは、ポルシェ契約ドライバーとなったニコ・ミュラーと入れ替わる形でアンドレッティの離脱が正式発表された後、フォーミュラEからの離脱が有力視されていた。

しかし、事態は急展開を迎える。日産は急遽方針を変更し、サッシャ・フェネストラズの3年契約を、パフォーマンス条項を行使し2年で早期解除する事を決断。フェネストラズは結果的に解雇となった。

サッシャ・フェネストラズはシーズン10において、チームメイトのオリバー・ローランドに対し大苦戦。ローランドが156ポイント獲得したのに対し、フェネストラズは僅か26ポイントしか獲得できず、日産はチームメイト間でのポイント差が最大のチームになってしまった。

崖っぷちであったサッシャにとって、シーズン10の最終2ラウンドであるポートランドとロンドンは重要なものであった。しかし、2つのダブルヘッダーのいずれでもミスを犯し、ノーポイントで終わってしまった。

ポートランドは特にダメージが大きく、サッシャはフリープラクティスでミスを犯しクラッシュ。その後予選でも苦戦。体調不良のローランドの代役として急遽出場が決定した、新人のカイオ・コレに予選で負けてしまった。

ロンドンでの最終戦では、サッシャにとって数戦ぶりのポイント獲得となるはずだったが、皮肉なことにナトーをバリアにクラッシュさせてしまい、セーフティーカー出動後5秒のペナルティが加算。6位から14位に転落した。

これらの結果を受け、日産はチームの立場を再評価し、最終的にサッシャを放出するという決断に至った。

日産と、ノーマン・ナトーのマネージャーであるティアゴ・モンテイロとの交渉は7月から続いていたものの、日産がサッシャで継続する方向であった事から1度中断されていた。

しかし、先述の通りサッシャが離脱の方向になった事から急遽交渉が再開。最終的に日産2台目のシートを得た形となった。

ノーマン・ナトーはこれまでのキャリアで、フォーミュラEのレースに49戦出場している。ヴェンチュリードライバーとして戦った、シーズン7最終戦のベルリンE-Prixでは初優勝を遂げた。またその後加わった日産とアンドレッティでも表彰台を1回ずつ記録しており、シーズン10では上海E-Prixにて表彰台を記録した。

ノーマンナトー公式コメント

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「日産フォーミュラEチームへの復帰を嬉しく思います。シーズン9では良い結果を出せたので、シーズン11でも良い流れを作りたいです。すぐにパフォーマンスを発揮することを目指しており、シーズン9での経験が役立つでしょう。昨シーズン、ローランドは速さを証明しました。私たちはフォーミュラ・ルノー2.0以来、サーキット上で戦ってきましたが、チームメイトになったことはありませんでした!うまくやっていけると確信していますし、一緒に表彰台に立ちたいと思っています。車両の進化がどのようなものか興味深いですが、目標は明確です。レースとランキングを制したいと考えています。最後にサッシャの幸運を祈ります。彼は素晴らしい人物であり、以前パートナーシップを組んでいた人と入れ替わることは簡単なことではありません。私たちは近いうちに再び競い合うことになるでしょう。」

オリバー・ローランドの公式コメント

「前シーズンに共に素晴らしい成績を残せた日産チームでの続投が決まり本当に嬉しいです。来シーズンでは、予選や車両開発など、レース全般でより一貫性を持たせる必要があります。昨年は完璧と思えるレースがいくつかあったので、今シーズンはさらに進歩させ、上位ポジションを掴むためにできる限りの調整を行いたいと思います。ナトーは非常に経験豊富でチームのことをよく知っています。彼とは数年前からの知り合いですし、今後一緒に走れることを楽しみにしています。GEN3 Evoカーは全チームにとってのチャレンジですが、私たちはパフォーマンスを最大限に引き出し、シーズン11の好調なスタートを切れると期待しています。また、サッシャの幸運を祈ります。シーズン10では、彼と有意義な時間を過ごしました。早くレースに戻ってくることを願っています」

トマソ・ヴォルペ (日産フォーミュラEチーム チーム代表 兼 日産フォーミュラEプロジェクト ゼネラルマネージャー)の公式コメント

©︎Adam Pigott

「前シーズンでは非常に良いパフォーマンスを発揮できたので、シーズン11に向けてワクワクしています。ナトーのチームへの復帰を歓迎するとともに、彼の豊富な経験とパフォーマンスに期待しています。ナトーはチームをよく知っており、シーズン9でも優れた才能を発揮していました。彼のフィードバックと洞察は貴重で、車両開発の実績もあります。またローランドは素晴らしいシーズン10を終え、その好成績を維持できると確信しています。ローランドとナトーは両者ともチームプレーヤーであり、強力なコンビになると信じています。二人ともチームにとってさらに良いシーズンとなるようベストを尽くしてくれることでしょう」

「同時に簡単な決断ではありませんでしたが、チームはサッシャに別れを告げなければなりません。彼はチームの確立と発展において重要な役割を果たしてきました。たゆまぬ努力と常に前向きな姿勢を見せてくれたサッシャに感謝し、今後のキャリアの幸運を祈ります」

ノーマン・ナトーの器用は1年限り?

© Peter Minnig / Spacesuit Media

英国のThe Race紙のインタビューにて、ノーマン・ナトーは日産への復帰に関して「本当にエキサイティングな挑戦」であり、「まだ始めたことを完遂していないと思います。チームは明らかに成長しているので、全員と仕事に戻るのが待ちきれません。」と語った。

 「私は車やシステム、チーム内の人々のことを知っているので、日産と再び一緒に仕事をするのは理に適っていると思います。新しいドライバーやチームを持つときは、タイムやパフォーマンスを追い求める余裕が無いのは明らかですしね。」とナトー付け加えた。

「最初から良いパフォーマンスができると確信していますし、それが目標です。」

「2024年にアンドレッティ/ポルシェで経験したことと、私が日産を離脱した後、チーム内で何が変わったかを比較できるのは非常に興味深いです。」

「これからの日産で何が起こるのか、とても素晴らしいストーリーになると思います。次の章がどうなるか楽しみです。」

移籍のタイミングが遅くなった事や、ナトーがシーズン9で日産に所属していた際、表彰台を記録している事を考えると、今回のドライバー変更はとても理に適っているだろう。しかし、これは一時的なドライバー変更と見なす見方が強い。

日産はシーズン10のシーズン中において、フェネストラズの後任としてポルシェ離脱が噂されていたアントニオ・フェリックス・ダ・コスタや、ジャガーのミッチ・エバンスを検討していた事が知られている。またノーマン・ナトーは1年契約であり、2025-26年のシーズン12では契約を1年延長する可能性があると言われる。ただGen4が導入されるシーズン13においては、日産はタイトル獲得を最大目標に、先述のダ・コスタやエバンスといったドライバーを獲得する事が確実視されているだろう。

WECとの日程衝突により、日産は3人目のドライバーを起用する必要性

ナトーは2024年と同様、来シーズンもWEC(世界耐久選手権)とのデュアルプログラムを行う可能性が非常に高い。そしてWECのサンパウロ戦とフォーミュラEのベルリンE-Prixは日程衝突をしており、フォーミュラEを優先した2024年とは異なりWECを優先することが確実視されている。

正式発表はされていないものの、ノーマン・ナトーはWECにて来シーズン以降キャデラックとの提携を発表した、Team JOTAと長期契約を結んだと理解されている。

©Marc Fleury

そしてナトーは日産との契約が遅く決まった事から、”先着順”の形でTeam JOTAとの契約が優先される形になる。その為、日産はベルリンにて代わりのドライバーを見つける必要性があるだろう。

ナトー陣営と日産との間で、この日程衝突に関する協議は既に行われたと理解されており、日程衝突時の優先順位に関しても日産と合意に至ったと言われている。

日産はナトーの代役ドライバーに関して、いくつかの選択肢を持っていると理解されているが、1番有力なのはインディNXTに参戦しているカイオ・コレである。

© Nissan

コレはシーズン10にて、日産ワークスと日産パワートレインを使用するマクラーレンのリザーブドライバーを務めており、これはシーズン11においても継続の見通しだ。更にコレは、シーズン10のポートランドE-Prixにおいて、体調不良のオリバー・ローランドの代役として急遽参戦した。

アルピーヌのドライバーを”トライアウト”

日産はその他にも、ルノー/日産/三菱アライアンスの一環で、アルピーヌアカデミーのドライバー数名を数ヶ月以内にテストする予定である。

名前が挙げられているのは、F1アカデミー(女性限定シリーズ)にロダン・モータースポーツより参戦し、現在ランキングトップのアビー・プリング、FIA F3にVARより参戦していた女性ドライバーのソフィア・フローシュ、FIA F2にART GPから参戦しているビクトール・マルタンスである。

アビー・プリング ©F1 Academy

アビー・プリングは11月4日〜7日にスペイン・バレンシアにて開催されるフォーミュラEのプレシーズンテストにて予定されている「女性限定セッション」に日産から参加する事が予定されている。(未発表)

またマルタンスに関しては、2023年のベルリンE-Prix後に行われたルーキーテストにて、日産のマシンをドライブした。

ルーキーテストにて、日産のマシンをドライブしたビクトール・マルタンス ©NISMO

サッシャの”解雇”は思ったよりも残酷

日産を2シーズンで離脱となったサッシャ・フェネストラズであるが、その別れ方はあまり良い形ではなかったようだ。実際、サッシャ・フェネストラズが続投の見通しであるというのは数々のメディアで報じられていたものの、急遽離脱の流れになった事からも明らかだろう。

サッシャ・フェネストラズは日産からの解雇が通告された後、母国アルゼンチンのCarburando.TVに出演。そこでのインタビューにて、日産解雇の舞台裏を語っている。

「7月の終わりから8月の初めに、彼ら(日産)は私に『来年も残留の予定だから心配しなくても大丈夫』と言ってくれました。(来シーズンに向け)一生懸命に取り組まなければならない事は分かっていました。」

「先週の月曜日、(自分が解雇される)噂をSNS上で見つけ、その後マネージャーにその噂は本当だと伝えられました。こんなにも遅く伝えられるなど、全く想像していませんでした。」

「フォーミュラEシーズン10の最終戦後、移籍の選択肢として1〜2チームありました。しかし日産から残留を言われていたので、他チームにもそれを伝えました。そして、彼らは既に他のドライバーと契約を結んでいます。今のところ、他のチャンスは全くありません。日産が自分をこの様に扱ったのは残念です。」

「トヨタと日産がスーパーGTでのオファーをくれましたし、WECのオファーもいくつかあります。選択肢は2〜3つほどあり、どれが自分にとって最良の選択か見極めなければなりません。ですが、ヨーロッパに拠点を置き続けたいと考えています。」

「どうなるかは、今週中に明らかになるでしょう。」

この報道を受け、アルゼンチンではサッシャ・フェネストラズのフォーミュラE復帰を求める運動が加速。#SachaEnFormulaE (サッシャをフォーミュラEに)というタグは、アルゼンチン国内でトレンド2位になるなど白熱している。

日本でも馴染み深い、サッシャ・フェネストラズの今後はどうなるのであろうか。

フォーミュラEのシーズン11は、11月4日から7日にかけてプレシーズンテストが行われ、12月7日にサンパウロで開幕する。

フォーミュラE シーズン11 暫定エントリーリスト (◎は正式発表済)

ジャガーミッチ・エバンス◎ニック・キャシディ◎
ポルシェアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ◎パスカル・ヴェアライン◎
DSペンスキーマキシミリアン・ギュンター◎ジャン=エリック・ベルニュ◎
日産オリバー・ローランド◎ノーマン・ナトー◎
アンドレッティジェイク・デニス◎ニコ・ミュラー◎
Envisionロビン・フラインスセバスチャン・ブエミ
マクラーレンサム・バード◎テイラー・バーナード◎
マセラティMSGストフェル・バンドーン◎ジェイク・ヒューズ◎
ABTローラルーカス・ディ・グラッシ◎未定(ケルビン・ファン・デル・リンデ?、ティム・トラムニッツ?、ダン・ティクタム?)
マヒンドラニック・デ・フリース◎エドアルド・モルタラ◎
ERT未定(ダン・ティクタム?)未定(セルジオ・セッテ・カマラ?、ユアン・ダルバラ?)

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