ゼイン・マローニがローラ・ヤマハABTからフォーミュラEデビューへ。F2では宮田のチームメイト。【フォーミュラE】

Formula E

噂は出ていたのもの、遂に現実となった。来季からローラ・ヤマハのパワートレインを搭載するABTが、未発表であったもう1人のドライバーを発表。その名前はゼイン・マローニであり、バルバドス出身の20歳だ。マローニはまだフォーミュラEのレースを走った経験がなく、ERT次第では唯一の完全ルーキードライバーとなる予定だ。

© ABT Motorsport

FIA F2でレース優勝経験もあり、ザウバー・アカデミーの一員でもあるゼイン・マローニは、ABTから正式オファーを受けた形でフォーミュラEデビューが決まった。ABTはマローニを、将来のスター候補と見なしている。

マローニはフォーミュラEのレース経験こそは無いものの、シーズン10ではアンドレッティのリザーブドライバーを務めたほか(東京E-Prixなど一部ラウンドで帯同していた)、ルーキーテストにてGen3をドライブしている。9月初旬にはイタリアのヴァラーノサーキットにてABTローラのマシンもテストしており、これがGen3 Evoの初テストとなった。このテストの際、マローニは契約前であったがABT首脳陣に対しかなりの好印象を残したと言われている。また今週中にもスペインで再びテストを行う予定だ。

アンドレッティをドライブするマローニ ©Andretti Global

マローニはシーズン10から引き続きABTをドライブし、フォーミュラE最多出場かつシーズン2チャンピオンのルーカス・ディ・グラッシのチームメイトとなる形になり、大ベテランとルーキードライバーという組み合わせになる。

©Mark Sutton / Motorsport Images

なおゼイン・マローニはFIA F2にロダン・モータースポーツから参戦しており(宮田莉朋のチームメイト)、今シーズン2勝、ランキング3位に付けている。だがフォーミュラE開幕戦のサンパウロE-PrixとF2最終戦は日程が衝突。マローニはF2のカタールとアブダビでの最終戦を欠場する予定であり、先日のバクーでのレースが最後のF2となった。

ゼイン・マローニの公式コメント

© ABT Motorsport

「ローラ・ヤマハABTチームの一員になれて嬉しく思います。このエキサイティングな挑戦を楽しみにしています。すでにチャンピオンシップについてはよく知っていますが、これは私にとってまったく新しい挑戦です。このような経験豊富なチームと、素晴らしい成功を収めたドライバーと一緒に働くということは、キャリアの次のステップとして最適でしょう。私はルーカスがチャンピオンになったときも含め、過去数シーズンにわたるルーカスの戦いを追っていますし、尊敬しています。彼から多くのことを学び、それと共に車の開発も進めていくつもりです。」

ティル・ベクトルシャイマー(ローラカーズ会長)の公式コメント

「来たるフォーミュラEシーズンに向けてゼインをチームに迎えることができて嬉しく思います。これにより、来シーズンのグリッドで最もエキサイティングなラインナップが完成します。ゼインはスピードと可能性に溢れた、非常に才能のある若手であり、ルーカスと並び若さと経験の理想的な組み合わせが実現しています。ゼインはさまざまなジュニアカテゴリーで実力を発揮し、レースウィナーとしての実力も証明しています。バレンシアでのプレシーズンテストで、そしてその後サンパウロでの開幕戦で彼がハンドルを握るのを見るのを楽しみにしています。」

トーマス・ビアマイヤー(ABT代表)の公式コメント

「シーズン11でゼインがチームの一員となることを非常に楽しみにしています。彼は、一緒に働き始めた最初の数日間からすでに新しい風を吹き込んでくれました。若い才能にチャンスを与え、サポートすることは、何十年にもわたってABTの強い伝統です。だからこそ、フォーミュラEでもこの道を歩むことは私たちにとって明らかでした。」

マローニがフォーミュラEを選んだ理由

© ABT Motorsport

マローニはFIA F2の夏休み中にはレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングからインディカーのテストに参加するなど、ここ最近2025年に向けて様々な選択肢を検討していたことで知られている。

マローニはイギリスThe Race紙のインタビューにて、今後のキャリアにおいてF1以外の道、特にメーカーのワークスドライバーといったプロとして働くことは非常に魅力的であると語った。

「F4、F3、F2のフィーダーシリーズに参戦するときは、マシンを走らせるためにチームにお金を払い、最前線に立つために少しでも良いチームに入ろうとします。」

「しかし、今やメーカーやその他の大きい企業から雇用され、彼らのためにドライブし、従業員としてチームの一員となることができるというのは素晴らしい機会です。これは、私がレースを始めたときの大きな目標でした。

「これは私のキャリアにおける新たな章であり、間違いなくステップアップ、前進だと思っています。ドライバーとして、そして人間として成長し、多くの人々と協力して車をグリッドの最前線に導くことを楽しみにしています。」

また今後のフォーミュラEは若手ドライバーにとって非常に素晴らしい場所になるとも語る。

「多くのメディアはF1、フォーミュラE、インディカー、そしてWECについて、F1こそが最高峰で、他はすべてがっかりするものだと見ています。」

「何年にもわたっていろいろなことが起こる可能性があるので、まずフォーミュラEのドライバーになることもほぼ不可能だということも理解しておくべきだと思います。フォーミュラEドライバーになるというのは非常に難しいことであり、だからこそF2からフォーミュラEに移籍するドライバーはまだ多くないのです。」

「彼らがそれを望んでいないわけではありません。ただプロとして、報酬を得ながらドライブするというのが非常に困難だからです。」

「F2には素晴らしいドライバー、素晴らしいチームがいます。しかし私たちは皆、何らかの形でそこにいるためにお金を払っているのが現状です。フォーミュラEのグリッド、F1のグリッド、インディカーのグリッドには、それほど多くの席がありません。だから、優秀なドライバーが、彼らにふさわしい席を獲得し始めるのを今後目にすることになると思います。」

「いずれにせよ、今は非常に厳しい状況です。だからこそ、この機会にとても感謝しており、全力で受け止めるつもりです。」

ローラ・ヤマハABTのマシン ©Galloway/LAT

ABTはマローニ以外に誰を候補にしていたのか

ABTは、前任のニコ・ミュラーポルシェと契約しアンドレッティへ移籍したことで、チームから離脱する事を知った後、様々なドライバーと交渉していたと思われている。

シーズン10ではERTから参戦していたダン・ティクタムや日産から離脱したサッシャ・フェネストラズ、ロバート・シュワルツマン、メルセデスF1リザーブドライバーのフレデリック・ベスティといったドライバーと交渉していた。

しかし、シュワルツマンは2025年からNTTインディカー・シリーズに新規参戦するプレマから、カラム・アイロットのチームメイトとしてインディカーデビューする可能性が高いと言われており、ベスティに関してはELMSを起点として耐久でのキャリアを更に拡大する方向のようだ。

ケルビン・ファン・デル・リンデ ©ABT Motorsport

他にもABTには、ABTからDTMに参戦しフォーミュラE参戦経験もあるケルビン・ファン・デル・リンデや、同じくDTMへ参戦し、ABTからフォーミュラEルーキーテストもドライブしたリカルド・フェラー、ABTからルーキーテストに複数回参加経験のある現役F3ドライバーのティム・トラムニッツが候補として挙げられていた。

ただ全員が真剣に検討されたわけではない。結局のところ、ケルビン・ファン・デル・リンデは来シーズンに向けてWECのハイパーカーのシートを狙っており、フェラーはDTM継続、そしてトラムニッツはレッドブル・ジュニアへ残留し来シーズンもフィーダーシリーズへ参戦の予定である。

1番検討されたのはティクタムとフェネストラズであり、8月中旬までは連絡を取り合っていたと思われている。ただABTは若手への投資を検討しており、F2でのパフォーマンスやリザーブドライバーを務めていたアンドレッティの上級役員との協議の結果、マローニに白羽の矢が立った。

アンドレッティはマローニについて、過去 18 か月間チームに在籍し、フォーミュラ E について学ぼうとしていたその姿勢と意欲を高く評価していた。ミュラーが実質的にそのポジションに就かなければ、マロニーが来シーズン、退任するノーマン・ナトの後任になっていた可能性もある。

フォーミュラE シーズン11で、残るシートは?

ローラ・ヤマハABTがドライバーを2人共確定させたことで、残るシートはERTフォーミュラEチームの2席となった。

ダニエル・ティクタム ©James Sutton / Motorsport Images

ERTで現在有力視されているのは、まずダニエル・ティクタムである。NIO333時代、そしてシーズン10でERTをドライブした彼は、移籍先を検討していたもののERTとの契約を延長するのが濃厚と見られている。

そして残り1席は、シーズン10でもドライブしたセルジオ・セッテ・カマラが濃厚と思われていたものの、日産から離脱したサッシャ・フェネストラズとERTとの交渉が激化していると思われており、サッシャ・フェネストラズがERTへ移籍する可能性も出てきているようだ。

フォーミュラEのシーズン11は、11月4日から7日にかけてプレシーズンテストが行われ、12月7日にサンパウロで開幕する。

フォーミュラE シーズン11 暫定エントリーリスト (◎は正式発表済)

ジャガーミッチ・エバンス◎ニック・キャシディ◎
ポルシェアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ◎パスカル・ヴェアライン◎
DSペンスキーマキシミリアン・ギュンター◎ジャン=エリック・ベルニュ◎
日産オリバー・ローランド◎ノーマン・ナトー◎
アンドレッティジェイク・デニス◎ニコ・ミュラー◎
Envisionロビン・フラインス◎セバスチャン・ブエミ◎
マクラーレンサム・バード◎テイラー・バーナード◎
マセラティMSGストフェル・バンドーン◎ジェイク・ヒューズ◎
ABTローラルーカス・ディ・グラッシ◎ゼイン・マローニ◎
マヒンドラニック・デ・フリース◎エドアルド・モルタラ◎
ERT未定(ダン・ティクタム?)未定(セルジオ・セッテ・カマラ?、サッシャ・フェネストラズ?)

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