10月9日、DAMSルーカスオイルは来季からFIA F3選手権に参戦することを発表した。
今シーズンはジャック・クロフォード、ファン・マヌエル・コレアの2人のアメリカ人を擁しF2に参戦するDAMS。フィーダーシリーズで常に存在感を見せつけてきたDAMSが遂にF3にも参戦することとなった。現在のFIA F3の前身であるGP3時代を含めると2017年以来の復帰となる。

シャルル・ピック チーム代表のコメント
「次のシーズンから今後3年間、フォーミュラ3チームに入ることに興奮しています。すでにF2で競争しているため、これは私たちにとって論理的なステップであり、この最新の努力は、技術的な側面でドライバーをサポートし、訓練するために導入したシステムを使用して、F3プログラムからF2チームに若いドライバーを育成できることを意味します。
「この最初のキャンペーンの主な目的は、今年のF2で行ったように、競争力のある車を開発することです。長年にわたって培った方法を再利用できるため、新しい車の到着でチャンピオンシップを開始するのは素晴らしいタイミングです。熟練したメカニックとともに、実績のあるエンジニアを含む非常に経験豊富な技術チームを編成しました。そのため、次のシーズンでF3で強力なパフォーマンスを発揮し、フィールドの先頭に立つことができると確信しています。」
“We’re thrilled to have been selected to enter a Formula 3 team from next season for the next three years. This is a logical step for us as we’re already competing in F2, and this latest endeavour means we can develop younger drivers from our F3 programme into our F2 team, using systems we have put in place to support and train drivers on the technical side.
“The main objective of this first campaign is to develop a competitive car, like we’ve done in F2 this year. Starting the championship with the arrival of a brand-new car is great timing, as we can reuse our methods that we’ve developed over the years. We’ve put together a very experienced technical team with proven engineers alongside good mechanics, so I’m confident we can deliver strong performances in Formula 3 over the coming seasons and be a contender at the front of the field.”
そもそもなぜ新規参戦できた?

2019年に始まったFIA F3選手権。F2に次ぐカテゴリーであるためフィーダーシリーズを戦うチームから人気が非常に高く、滅多に枠が空くことは無い。しかし2024年シーズンを持ってイェンツァー・モータースポーツが撤退。F3の参戦枠が1チーム分空くこととなった。
この空いた枠には多くのチームが興味を示した。DAMS、サンテロック、R-エース、VRDなどF3以外のカテゴリーで活躍するさまざまなチームの参戦が噂されたものの、F2にも参戦するDAMSが参戦することとなった。
DAMS基礎知識
DAMSはフランスを拠点に、現在はF2のみに参戦するチーム。元F1ドライバーのルネ・アルヌーとそのマネージャーを務めていたジャン・ポール・ドリオーが1988年に創設した。もともとフランス人ドライバーの育成を目的に創設されたチームであったためフィーダーシリーズへの参戦に力を入れている。特に国際F3000、その後継のGP2、さらにその後継となる現F2には現時点で計31シーズン参戦しており、実力、歴史ともに最高レベルのチームとなっている。その他FIA GT選手権、A1グランプリ、フォーミュラE、GP3などに参戦していた。2022年に元F1ドライバーのシャルル・ピックがチームを買収。2024年からはルーカスオイルがメインスポンサーとなり、チーム名称が「DAMSルーカスオイル」となった。
2021-2022シーズンをもって日産と提携してのフォーミュラE参戦が終了(日産単独チームへ移行)してからはF2のみに参戦していたDAMS。3年ぶりに複数のレースシリーズへと参戦することとなった。

DAMSの主な卒業生
DAMSは30年以上にわたってさまざまなフィーダーシリーズのレースに参戦してきたことから、多数の大物ドライバーを輩出してきた。
| 国籍 | 所属年度 | 参戦レース | 備考 | |
| エリック・ベルナール | フランス | 1989 | 国際F3000 | 1989年王者 |
| エリック・コマス | フランス | 1989-90 | 国際F3000 | 1990年王者 |
| アラン・マクニッシュ | イギリス | 1990-91 | 国際F3000 | |
| ジャン・マルク・グーノン | フランス | 1992 | 国際F3000 | |
| オリビエ・パニス | フランス | 1993 | 国際F3000 | 1993年王者 |
| フランク・モンタニー | フランス | 1999 | 国際F3000 | |
| セバスチャン・ブルデー | フランス | 2001 | 国際F3000 | |
| ホセ・マリア・ロペス | アルゼンチン | 2003-05 | FRV6ユーロカップ,GP2 | 2003年王者 |
| ニール・ジャニ | スイス | 2004 | FRV6ユーロカップ | |
| パストール・マルドナド | ベネズエラ | 2005 | FR3.5 | |
| フランク・ペレラ | フランス | 2006 | GP2 | トヨタ育成 |
| 中嶋一貴 | 日本 | 2007 | GP2 | トヨタ育成 |
| ニコラ・ラピエール | フランス | 2007 | GP2 | |
| 小林可夢偉 | 日本 | 2008-09 | GP2 | トヨタ育成 GP2アジア王者 |
| ジェローム・ダンブロジオ | ベルギー | 2008-10 | GP2 | |
| ロマン・グロージャン | フランス | 2010-11 | GP2 | 2011年王者 |
| ダヴィデ・バルセッキ | イタリア | 2012 | GP2 | 2012年王者 |
| フェリペ・ナスル | ブラジル | 2012 | GP2 | |
| マーカス・エリクソン | スウェーデン | 2013 | GP2 | |
| ケビン・マグヌッセン | デンマーク | 2013 | FR3.5 | 2013年王者 |
| ノーマン・ナトー | フランス | 2013-14 | FR3.5 | |
| ジョリオン・パーマー | イギリス | 2014 | GP2 | 2014年王者 |
| カルロス・サインツJr. | スペイン | 2014 | FR3.5 | 2014年王者 |
| ピエール・ガスリー | フランス | 2015 | GP2 | |
| ニック・デ・フリース | オランダ | 2015 | FR3.5 | |
| アレックス・リン | イギリス | 2015-16 | GP2 | |
| ニコラス・ラティフィ | カナダ | 2016-18 | GP2,F2 | |
| ジェイク・ヒューズ | イギリス | 2016 | GP3 | |
| サンティノ・フェルッチ | アメリカ | 2016-17 | GP3 | |
| タチアナ・カルデロン | コロンビア | 2016-17 | GP3 | |
| ダン・ティクタム | イギリス | 2017,20 | GP3,F2 | |
| オリバー・ローランド | イギリス | 2017 | F2 | |
| アレキサンダー・アルボン | タイ | 2018 | F2 | |
| セルジオ・セッテ・カマラ | ブラジル | 2019 | F2 | |
| マーカス・アームストロング | ニュージーランド | 2021 | F2 | |
| 岩佐歩夢 | 日本 | 2022-23 | F2 | ホンダ育成 |
| アルトゥル・ルクレール | モナコ | 2023 | F2 | |
| ジャック・クロフォード | アメリカ | 2024 | F2 |
これまでにF1ドライバーを33人輩出。フィーダーシリーズで12度のドライバーズタイトル、9度のチームタイトルを獲得している。2014年にはパーマーがGP2、サインツがFR3.5を制し二冠を達成した。日本人は過去に3人(中嶋一貴、小林可夢偉、岩佐歩夢)が所属。その他で注目は1990年のF3000王者エリック・コマス、2015年GP2に参戦したピエール・ガスリーあたりだろうか。コマスはF1をドライブした後に来日しニスモに加入、1998年、1999年のJGTC GT500王者となったドライバーだ。また2023-24シーズンで日産からFEに参戦するローランドとナトーもどちらもDAMSに所属した経験がある。

GP3時代のDAMS
F3参戦は今回で初となるDAMSだが、F3の前身となったGP3には参戦していたことがある。
2010年から2018年まで開催されたGP3。このレースは2019年にヨーロピアンF3と統合され現在のFIA F3となった。DAMSは2015年を最後にフォーミュラ・ルノー3.5(当時のGP2に近いカテゴリー)から撤退。そのリソースを使い2016年、2017年の2年間GP3に参戦した。
2016年は初参戦ながら2勝、5表彰台を獲得し7チーム中4位となった。特にジェイク・ヒューズの活躍はめざましく、2016年の2勝4表彰台はヒューズが獲得したものだった。チームメイトのサンティノ・フェルッチも表彰台を1度獲得しシーズン12位。この年唯一の女性ドライバーとなったタチアナ・カルデロンは2回入賞し21位となった。
2017年はカルデロンとフェルッチが継続、ヒューズが離脱し新たにブルーノ・バッティスタが加入した。しかしフェルッチは序盤3戦でチームを離脱。中盤2戦はマシュー・バキシビエールが参戦、終盤3戦はダン・ティクタムが参戦した。エース不在の前半戦は大苦戦し最高位はカルデロンの7位という状況に。後半戦は新加入のティクタムが速さをみせ上位入賞を連発、最後は3位表彰台を獲得してみせた。しかしチームとしては6チーム中6位、最下位に。このシーズンをもってDAMSはGP3から撤退した。参戦枠はMPモータースポーツが引き継ぎ現在も(後継のFIA F3に)参戦している。
DAMS F3、誰が乗る?
DAMS F3の復帰初年度のドライバーとして参戦すると予想されているドライバーを紹介する。
1人目はマティアス・ザガゼータ。ペルー出身、2003年生まれの21歳のドライバーだ。2025年はイェンツァーから参戦。イギリスのスプリントレースで3位表彰台を獲得しシリーズ25位となった。
2人目はクリスチャン・ホー。シンガポールと韓国のハーフのドライバー(シンガポール国籍)で現在17歳のドライバーだ。2022年に四輪デビュー、2年目の2023年にはスペインF4で2位を獲得するなど現在期待が高まっている。2024年はユーロカップ-3で1レースを残し現在2位。まだチャンピオン獲得の可能性も残している。
3人目はニコラ・ラコルテ。DAMSと同じくフランスのアルピーヌ育成に所属しているイタリア人ドライバーだ。前述のホーと同じく2022年に四輪デビュー。2023年はイタリアF4で9位を獲得し2024年はFRECAに参戦している。現在1戦を残しランキング21位。
この3人は先日のヘレスでのプレシーズンテストに撤退するイェンツァーから参加。1月以降の新車でのテストにはDAMSから参加すると思われる。
DAMS F3初走行、初レースはいつ?
昨日から行われているスペインのヘレスでのF3ポストシーズンテストは旧型車両F3 2019で行われる都合上、今季で撤退するイェンツァーが引き続き参加している。来週の15日(火)、16日(水)に同じくスペインのカタルーニャ・サーキットで行われるポストシーズンテストにもイェンツァーが参加すると思われるため、DAMSのF3初走行は1月に行われる新型マシンF3 2025のシェイクダウンテストになると考えられる。

DAMSのF3初レースは2025年シーズン開幕戦、メルボルン戦。3月14日(金)に予選、15日(土)にスプリントレース、16日(日)にフィーチャーレースが行われる。新規参戦のDAMSがPREMA、トライデント、ARTのような強豪チームたちに対してどこまで戦えるのか、今から楽しみだ。



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