ニュージーランドにおける最高峰選手権である「Castrol Toyota Formula Regional Oceania Trophy(以下CTFROT)」が今週10日に開幕する。
2023年にフォーミュラ・リージョナル選手権として認定を受けたこのシリーズはヨーロッパでのオフシーズンとなる1月に開催されることから、FIA Formula3のシートが決まっているドライバーらが多く参戦。その中でも今年は9名のF3勢のほか、2026年にスーパーフォーミュラ参戦を始めるカッレ・ロバンペラらがグリッドに並ぶ、注目度の高いチャンピオンシップだ。
About CTFROT

TOYOTA GAZOO Racing New Zealandが一括でワンメイクマシンを整備するこの選手権では、2020年からタトゥース・FT60を用いてきた。トヨタ製285馬力の強力なエンジンを擁し、P1フューエルズが供給する「100%化石フリー燃料」を使用する。
100%化石フリー燃料は世界6つあるFR選手権史上初であり、77.4%のCO2排出量を削減している。
ニュージーランド最高峰のこの選手権は、2005年にトヨタ・レーシング・シリーズとして発足。これまでミッチ・エバンス、ニック・キャシディ、リアム・ローソンらF1やFormula Eで活躍するキーウィたちがチャンピオンに輝いたほか、現在F1活躍しているランス・ストロールやランド・ノリス、Indy 500ポールシッターのロバート・シュワールツマン、SFウィナーのイゴール・オオムラ・フラガらもオセアニア最高峰を獲得している。
2023年にフォーミュラ・リージョナル選手権となり、現在はCTFROTとしてニュージーランドの5つのサーキットで16ラウンドが開催されている。
1月から2月の5週末と、ヨーロッパの各選手権のオフシーズンに開催されることから、既に今シーズンのシートが確定したドライバーがトレーニングやFRマシン順応の一環として参戦することも多い。
今年は9名の2026年F3ドライバーを含む総勢32名がエントリーした。
その中でもニュージーランド人ドライバーのルイ・シャープに期待が高まっているのは間違いない。ニュージーランド南島に本社を構える高級自動車ブランドのRodin Carsは、F1のレーシングブルズで活躍するリアム・ローソンを支援してきた。その彼に続くキーウィF1ドライバー誕生を目指し、シャープを強力にバックアップしている。

英国F4でのデビュー以降、GB3でチャンピオンに輝いた2024年、そしてF3初参戦となった昨年まで、シャープは一貫してRodin(旧Carlin)に所属してきた。しかしチームは、旧Carlin時代から続くF3でのパフォーマンスに苦しんでおり、シャープ自身も昨シーズンはランキング26位に終わっている。
こうした状況を受け、2年目を迎える今季、Rodin Carsによる巨額の支援をもとにPREMAのシートを確保し、キーウィドライバーは名門チームへ移籍した。Rodin自身が保有するチーム以外へと移籍させ、環境を一新して頂点を目指す道へと方向転換したのだ。
これはシャープとRodin Carsにとって、さらにはオセアニアのモータースポーツ界全体にとっても重要な意味を持つ。今後の一か月は、その行方を占う極めて重要な期間となるだろう。
また、チャンピオン有力候補として、2026年に華々しくF1デビューとなるレッドブル育成ドライバー、アービッド・リンドブラッドが昨年チャンピオンを獲得したチームであるM2 Competitionが筆頭なのは間違いないだろう。

このチャンピオンチームの27号車をドライブするフレディ・スレイターは、2026年のF3チャンピオン有力候補といわれ、2025年FRECA、2024年UAE F4、イタリアF4のチャンピオン。マカオGPでは決勝レースのクラッシュまで1位を走行するなど、彼の速さを疑うものはいないといえる。
一方でラファエル・カマラとのチャンピオン争いを避けるため昨年のF3フル参戦を見送るなど慎重派の一面も持つ。これもF3参戦が決まりながらCTFROTに挑戦するひとつの理由だろう。このように多くのチャンピオンシップの経験を持っており、さらに昨年は鈴鹿でSFテストに参加。日本人にもなじみ深いドライバーのひとりだ。

M2 Competitionの4号車にはウゴ・ウゴチュク。同じく昨年、鈴鹿でSF23をドライブしたアメリカ人ドライバーだ。
2024年のマカオGP優勝者で、2025年はFRMECで3位、F3では二度の表彰台を獲得しており、こちらもチャンピオン争いに名乗り出るひとりだろう。

昨年リンドブラッドに次ぐ2位でルーキー・オブ・ジ・イヤーに輝いたザック・スクーラーは、今年も同じチームであるmtec Motorsportから参戦となる。
2024年にUAE F4でフォーミュラデビュー、英国F4を経験したのち昨年FRオセアニアに参戦し、二度の優勝を含む七回の表彰台を獲得。その後EuroCup-3に参戦し、今回母国ニュージーに戻りCTFROTチャンピオンを目指す。
ポイントは離されたものの、FRマシン初挑戦で現F1ドライバーに次ぐ高成績を残した彼の二回目のチャンピオン挑戦も注目が高まる。
また、2026年にF3参戦する2名の日本人ドライバーが今回、新規参戦チームからエントリーしている。

TGRドライバーチャレンジプログラム(TGR-DC)所属の中村仁がHitech TGRの12号車のステアリングを握る。
2023年のFIA-F4で2位、翌年SF Lightsで2位。2025年に海外挑戦を始め、FR Middle East(FRMEC)とFR European(FRECA)で一度の優勝を含む合計三回の表彰台を獲得し、FRECAではR-aceのチームズチャンピオンに貢献した。

中村のチームメイトとなるはベトナムとのハーフ、りー海夏澄。2024年からFRMEC、FRECA、マカオGPに参戦し、昨年はスポット参戦のGB3で一度の優勝を含む三戦連続表彰台を獲得するなど、FRマシンやヨーロッパの経験が豊富なドライバーだ。
今回、英国F4ぶりにHitechへと戻り、19号車をドライブする。
M2 Competitionは、ニュージーランド人で2024年に日本でFR参戦したセバスチャン・マッソン、昨年EuroCup-3を戦ったレッドブル育成のエルネスト・リベラ、マクラーレン育成を離脱し新たな門出のウゴ・ウゴチュク、注目の集まるFRECAチャンピオンのイングランド人フレディ・スレイターを起用。
mtec Motorsportは、昨年FRオセアニア2位のザック・スクーラー、FRMECやFRECAなどに参戦した中国・西安出身の崔元普(ツイ・ユエンプォー)、今回フォーミュラデビューとなるニュージーランド人ルーキーのライアン・ウッド、そして一昨年GB3チャンピオンの母国ドライバー、ルイ・シャープを迎える。
Giles Motorsportは、昨年GB4でめざましい活躍を見せたルーキー、ジャック・テイラーと、インディNXTから来たアメリカ人、ノーラン・アラーの組み合わせ。
Kiwi Motorsportは、昨年F4USで前人未踏の9連勝チャンピオンで、すでにFR Americas参戦も決定しているルーキー、クーパー・シップマンと、今年史上初のスリランカ人F3ドライバーとなるイェバン・デビッドのペア。
今回初参戦となるHMD Motorsports with TJ Speedは、ブラジルF4やスペインF4に参戦したカートデビューからわずか3年目のリカルド・バティスタと、昨年既にFIA Formula2デビューを果たし、今年もF3参戦のジェームス・ウォートンを起用した。
同じく初参戦のHitech TGRは昨年イギリスF4で最高のシーズンを過ごしチャンピオンに輝き、F3へステップアップするレッドブル育成、フィオン・マクラフリンと、WRC電撃引退を発表しフォーミュラ転向後初のチャンピオンシップを迎えるカッレ・ロバンペラ、昨年FRMECとFRECAに参戦したTGR-DC肝いりの中村仁、同じくFRMECとFRECAに参戦し、F3のシートが決まるりー海夏澄が起用された。
Hitechにとって2023年のFRMEC以来初のFR挑戦となる。強力な4名のドライバーを強力なチーム体制で迎え、オセアニア最速を目指す。
Calendar
1/8~1/11 第1戦~第4戦
ハンプトン・ダウンズ・モータースポーツ・パーク
1/16~1/18 第5戦~第8戦
タウポ・インターナショナル・モータースポーツ・パーク
1/23~1/25 第9戦~第12戦
テレトンガ・パーク
1/30~2/1 第13戦~第16戦
ハイランド・モータースポーツ・パーク
(New Zealand Grand Prix)
Weekend Structure
木曜日:
テストセッション(30分間)×2回
もしくは、
テストセッションA組(20分間)
テストセッションB組(20分間)
プラクティススタートセッション(45分間)
金曜日:
プラクティス(30分間)×3回
土曜日:
予選1(15分間)
レース1(予選順グリッド・70km)
レース2(上位8台リバースグリッド・70km)
日曜日:
予選2(15分間)
レース3(レース2最速ラップ順グリッド・70km)
レース4(予選順グリッド・フィーチャーレース)
すべての予選・レースはTOYOTA GAZOO Racing New ZealandからYoutubeで配信される。
全16戦で争われるCTFROTがいよいよ開幕する。史上最高のグリッドのひとつとなった今年、南半球の白雲の国で最速の称号を得るのは誰になるのか。
Photographs are courtesy of TOYOTA GAZOO Racing New Zealand.
取材協力:Nicolas Caillol, TGR NZ


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