マシュー・セラドリ、ホイールの違反で失格に。【W2RC 第5戦 ラリー・デュ・モロッコ 2024】

W2RC(ダカール)

マシュー・セラドリは、彼のCentury CR7-Tのホイールの内2つが最低重量を満たしておらず、ビードロックが取り付けられていたために、ラリー・デュ・モロッコからの即時失格がFIAによって言い渡された。

Century Racing 公式Facebookより引用

事の発端は月曜のステージ1終わりに抜き打ちで行われたホイールの抜き打ち検査にある。ランダムに2本選んで重量を測定したところ、片方は11.006 kg、もう片方は10.946 kgであった。FIAの国際モータースポーツ競技規則付則Jの第285条 11.6項に「アルミ合金製で重量が12kgを超えるリムのみが認められる(Only wheels rims made from aluminium alloy and weighing more than 12 kg are authorised.)」と規定されているので、検査を受けたホイール全てが違法ということだ。

通常、ホイールの最低重量違反は罰金が科せられるだけだが、今回はビードロックがつけられているために重い裁定が下されたようだ。ビードロックとは、リム(ホイールの外径部)とビード(タイヤの端でリムと接触する場所)を、キャリパーブレーキのように両側から挟み込んで固定する器具のことだ。タイヤの空気圧を下げて走行する際に、ビードがリムから外れないようにする効果がある。特にオフロードレースにおいては、空気圧を極端に下げるとトレッドの接地面積が大幅に広がり、グリップ力向上が見込めることから、レギュレーションで使用の可否が明記されていることが多い。プロトタイプ・クロスカントリー・カー(グループアルティメット)特別規定付録J – 第285条 8項にも「ビードロック “タイプの装置の4WD車への使用は禁止されている。(The use of any “Beadlock” type device is forbidden on the 4WD vehicles)」という記載がある。

チームは公式Facebookにて「ルールに従わないつもりはなく、安易さと不注意から、古いCR6リムを信じて新しいCR7-Tに使用しました。私たちはがっかりしていますが、FIAの決定を受け入れ、理解しています。」と、裁定に理解を示している。

では何故このようなことが起きてしまったのか?

ここからは筆者の憶測だが、2つの要因が重なり合って起きてしまったと考えている。
1つ目は、四輪駆動バギーの運用経験の少なさだ。2023年10月に発表されたCentury CR7-Tは、この1年間でダカール・ラリーとモロッコ・デザート・チャレンジしか走行しておらず、FIA管轄のイベントにいたってはシェイクダウンを兼ねた2024年のダカール・ラリーのみである。これまで10年以上二輪駆動バギーを製造・運用してきたセンチュリー・レーシングにとって、四輪駆動車専用規定は唯一かつピンポイントで弱い部分なのかもしれない。
2つめは、規定の策定時期にある。現在のT1+規定が設置された2022年のプロトタイプ・クロスカントリー・カー特別規定には、ビードロックに関する記載は一切ないのだ。翌2023年版からはしっかり記載されているのだが、車両制作中に追加されたであろうこの項目を見落としやすいのも理解できる。

このように、チーム唯一のウィークポイントにピンポイントでルールが追加されたからこそ起きてしまった事故であったとも言えるのではないだろうか。

ステージ2では95キロポストの時点でアル=アティヤやモラエスを上回り暫定トップを獲得するなど、過去数年で類を見ないほどの好調を見せていた。10位に相当する3時間19分30分で終え、総合8位に入っていたセラドリだが、現在はリザルトから抹消されている。

ダカールの前に判明したのが不幸中の幸いだ。

参考

https://www.fia.com/sites/default/files/285_2024_updated_2024.03.19.pdf
※クリックするとダウンロードが始まります。https://www.fia.com/sites/default/files/285_2024_wmsc_2024.06.11_cv.pdf

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